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女性性機能障がい(FSD)とは?

性交痛やオーガズム障がい、性行為への関心低下などを女性性機能障がい(FSD=Female sexual dysfunction)と言います。「不全などの性機能障がいは男性だけに起こるもの」と思っていませんか?最近では不妊症の原因の一つとしてEDに関する情報が増えてきましたが、女性の性機能障がいの認知度は高くないため、知らない人も多くいます。

●女性性機能障がい(FSD)の種類 FSDは

性行為への関心低下、オルガズム障がい、性交痛・挿入困難の3つの種類に分けられます。

①性行為への関心低下
パートナーとの関係性や、家事・育児、仕事など、日常生活の中で生じたストレスが原因で性欲が減退することがあります。また、ホルモンの分泌量が少ないことや服用している薬が原因で性欲が低下し、FSDを誘発することもあります。

②オルガズム障がい
オルガズムは性的興奮がピークに達したあとに起こる、骨盤底筋群のリズミカルな運動のことです。十分な性的刺激や性的興奮を経験しているにもかかわらず、オルガズムがない、反応が鈍いなどの症状をオルガズム障がいと言い、これがFSDの原因になっていることがあります。

③性交痛・挿入困難
性交痛や膣痙攣(けいれん)などにより挿入ができない場合も、性機能障がいに分類されます。閉経にともなうエストロゲンの減少のほか、外陰炎、膣炎、膣粘膜の萎縮、子宮内膜症など婦人科系疾患が原因で起こることが多いようです。

●女性性機能障がい(FSD)の原因

女性の性機能障がいの原因として、体的要因と精神的要因の2つが挙げられます。しかし、FSDを抱える女性の多くは、精神的要因が原因になっていると言われています。

■おもな心理的原因
・性は「汚らわしいもの」と教えられた
・親による過干渉
・性暴力被害・DV
・中絶・死産
・パートナーとの関係性悪化
・パートナーのED、浮気
・怖かった、痛かったなどの性体験による負のイメージ

■おもな体的原因
・女性ホルモン不足
・膀胱炎
・膣炎・性感染症
・処女膜強靭症
・膣痙攣(けいれん)
・甲状腺機能異常
・糖尿病
・薬の副作用
・腹部の手術による後遺症

●女性性機能障がい(FSD)の治療法

■自力でできる治療法
オーガズム障がいが原因である場合は、セルフプレジャーで症状が緩和されることがあります。自分の体を自分で「開発」すれば、オーガズムを感じやすい体になるだけでなく、質を上げることも可能です。セルフプレジャーに罪悪感を抱いてしまうという人は、小説や漫画、動画などの性的なコンテンツに触れることで「人は元来性的なものである」という事実を受け入れられることもあります。またパートナーの望みを受け入れるだけではなく、自分の心地良さや好みを見つけることが大切です。自分の思いを相手に伝え、コミュニケーションを図ることで悩みを分かち合い、症状が改善することもあります。

■原因がわからなくて自分で解決できない場合
婦人科や精神科など、性機能障がいの専門医の受診をおすすめします。問診や心理テストなどのカウンセリングで原因の特定が行われるほか、婦人科では体的原因の可能性を調べるための内診が行われます。おおよその症状や原因が判明すれば、効果的に治療を進められます。また、症状によっては抗うつ剤や漢方の投与、ホルモン補充、潤滑ゼリーなどが処方されることも。精神的なものに原因がある場合は、専門医のサポートのもとでパートナーと一緒に訓練を受けることもあります。